天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実(3)

※1・2・3巻同じ書評となっています。

<内容>
「炎立つ」「火怨」…大河3部作の最終章。
織田信長が天下布武を掲げた頃、陸奥の南部家では内紛が続いていた。
新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実は、ついに宗家を見切った。
戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。
南部家棟梁が二代続けて怪死する激乱の事態。
「北の鬼」九戸政実は、南に目を向けながらも、南部一族内の権謀術数が蠢く陸奥に縛られていた。
織田信長が殺され、伊達政宗が台頭する。
天下人となった豊臣秀吉は、20万の兵を率いて東へ進軍をはじめた。
目前に迫る10万の豊臣秀吉軍。
日本中がひれ伏した敵に、わずか5000の兵で九戸政実は喧嘩を売った。
策を尽くし、鍛えた武力で敵を翻弄する九戸党。
誇りをかけた最期の戦いを待ち受けていたのは…。

<感想>
「炎立つ」「火怨」に続く陸奥3部作最終章の主役に選ばれたのは“九戸政実”…
最初に見たとき、その目の付け所に驚いてしまいました。
ここまでマイナーな武将に注目し、それをどう描いているのかと。
そして、「炎立つ」や「火怨」が中央権力者(源氏)対蝦夷と言う構図で描かれていたのに、政実は中央権力者側の人間。
本来なら陸奥3部作のテーマと異なる人選のはずでした。
しかし、政実は自らを蝦夷であるとし、中央権力者に諂う弱腰な宗家に見切りをつけ、その蝦夷のために戦に明け暮れる…。
そこには先祖が誰であるかは関係ない、そこで生まれそこで育ってきたモノの意地のようなものが見えました。
そして、決して勝てない戦はしない政実が、秀吉の圧倒的な兵力を前にして、自らの意地・誇りをかけて戦いに挑んでいく。
これこそ高橋克彦ワールドと言う感じがしました。
ただ…途中で若干の中だるみと、蒲生氏郷が無能のように描かれていたのが少し残念でした。

天を衝く(3)
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(文庫本版)
著者名高橋克彦
出版社名講談社文庫
出版年月2004年11月
ページ数438P
ISBNコード4-06-274917-3
価格730円(税込)
評価★★★★☆
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