「本能寺」の真相

<内容>
信長は、そのとき、何故、丸腰同然で本能寺に泊まっていたのか?
毛利と戦っていた秀吉は、いかにしてその情報を得、“中国大返し”をやってのけたのか?
家康は、どうして“伊賀越え”ルートで逃れたのか?
簡単な首実験で判定された、主君の仇・明智光秀の首は、本当に光秀のものだったのか…?
「戦国時代の四英傑」にまつわる巨大な謎が、日本地図に浮かび上がる大三角形によって解き明かされる!
最終勝者は誰だ!?

<感想>
本能寺の変の真相と言うことで買ってみたんですが…読み始めはそのタイトルと全く違う内容で、多少頭が混乱しました。
導入部として、本編とは違う角度から始めると言うのは決して間違ってはいないと思うのですが、しかし始まりが武田信玄の埋蔵金…
いくらなんでも、本筋とかけ離れすぎている気がして…これが最終的には大きく関係するのかと思いながらも、いきなり何を言いたいんだろう?と言う戸惑いがありました。
そして、実際の内容としてなんですが…これは「小説」としての感想と「歴史」としての感想の2つで挙げてみたいと思います。

まず、「小説」としての感想なんですが…ミステリとしては犯人を捜す経緯、犯人が分かった後の行動、その後の話、その全てが中途半端と言うか、軽い印象を受けました。
確かに、「歴史ミステリ」として小説を書く場合、歴史の解明が重視されるのは当然なんですが、それにしても伏線らしきものもなく、最後も完全には事件が解決されずに終わってるような感じで…。
また、登場人物の視線が変わりすぎるのも、読む上でちょっと読みにくさを感じた要因だと思います。

そして、「歴史」についての感想ですが…目の付け所はなかなか良かったと思います。
僕が無知なのもあるのですが、今まで知らなかった事実などが多数織り込まれており、とても勉強になりました。
ただ、その事実を踏まえて本能寺の真相を解明していくのかと思ったのに、本筋では何か遠回りに解明して行っているように見えました。
ここで詳細を語るとネタバレになって面白くないので言いませんが、語りたいものが絞りきれず、全てを語ろうとしたために、全体として薄い内容になってしまった、そんな気もします。
また、解明する上での前提条件が「本当にそうなの?」と思うような条件で進められているところがあり、そう言う意味ではみんなが納得しない、独りよがりな論説で終わってしまったのかもしれません。
と、こう言うとかなり酷評して面白くない意味がない本だと聞こえるかもしれませんが、ここで書かれているその他の歴史的背景などは非常に参考になり、勉強になると思います。
純粋に本能寺の変前後の事実などを知りたいと思う方は、ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか?

「本能寺」の真相
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(ノベルス版)
著者名姉小路祐
出版社名講談社ノベルス
出版年月2005年4月
ページ数233P
ISBNコード4-06-182424-4
価格882円(税込)
評価★★☆☆☆
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